“信仰は,法の前ですべて平等である”とはいうけれど。

ニュージーランドの銃乱射事件の犠牲者の方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
今、全世界のムスリムの方達はどんなに不安で恐ろしい思いをされていることでしょう。

どこにでもヘイトクライムの土壌は存在します。
えー⁉︎ こんな人が……と思うような差別的発言に遭遇することがあります。
一人ひとりが少しずつでも差異への偏見をなくす努力をしていかなければと思います。

さて、前回はカトリック教会と国家の関係について述べました。
それではカトリック教以外の宗教に対してはどうなのでしょうか?

『イタリア共和国憲法』の第8条に次のようにあります。

「信仰は,法の前ですべて平等である。

カトリック教と異なる各宗教は,イタリアの法制度に
違反しない限り,それぞれの規則において組織を形成す
る権利を持つ。

国家と宗教との関係は,各宗教代表者との合意に基づ
き,法律により規定する。」
(イタリア共和国上院国際部による翻訳)

 

簡単に説明しますと、
カトリック教以外の宗教にも自由と平等の権利があります。
ただし、その宗教の活動がイタリアの法律に違反しないことが条件です。
もしそれがカルト宗教、非社会的組織であれば認められません。
(当然ですよね。)

そして国家と各宗教との合意は政府の委員会によって検討されて承認を得ます。
その合意のことをイタリア語で「インテーサ」日本語では「宗教協約」とも訳されています。
皆様もお聞きになったことがあるのではないでしょうか。

宗教協約が締結されますと、カトリック教会がすでに持っている権利をその宗教にも保証します。

例えば、イタリアでは小学校から高校まで「宗教」の授業があります。
教師によっても若干違いますが、内容は主にカトリック教会の教義に関するものです。
国の祝祭日は12日のうち8日がカトリック教のものです。

宗教協約を締結した宗教には、それらと同じ権利が保証されるということです。
ただし、実際にはそれを実現することは難しいと思います…というかほとんど不可能だと思います。

現在、宗教協約が締結されているのはイスラム教、ヒンズー教等々12の宗教団体です。

ちなみに『エホバの証人』は申請中ですが、まだ承認されていません。
(エホバの証人さん、こんなカトリックバリバリの地域でも熱心に布教活動されていて、時々拙宅にも来られます。頭下がります。)
創価学会も承認まで十数年かかったので、そのうち承認されることでしょう。

多数派であるカトリック教会と少数派である他の宗教との格差をなくすための協約であると言えますが、現実にはなかなかそうはいかないというところです。

宗教協約を締結したということは、政府からのお墨付きをもらったということで、宗教団体にとっては重要なのかもしれません。
しかし、宗教として、一人一人の信仰者として、深め鍛えていかなければ、制度だけの問題になってしまうことでしょう。

 

最後に少し長くなりますが、この言葉をご紹介します。

「“数は力”という発想は、神の民にとって最も危険なものです。
メンバーを増やし、組織を拡大することが力をつけることになると考えるのは、決して、帝国主義や企業論理に支配されている政界、財界だけでなく、今や教会の中にも蔓延しています。
修道会も活動グループも、数が増えて組織が完備されないと不安で落ち着かず、人材と資金獲得に勢力を注ぎます。
しかし、福音の価値観から見れば、小さく、貧しいグループの精一杯の働きのほうが、ゆとりのある大きな団体の物量活動よりも、はるかに力強く、人々への影響も大きいというのが実感です。
自然発生的な草の根の無数の小さな活動グループが、その小ささゆえに弱者との共感が得られることを認め、その微力さを積極的に肯定し、組織としてでなく、ネットワークとして横に連帯していくことこそ、最も福音的であり、神の救いの業に協力しやすい状態を保つことになるのです。」『イザヤ書を読む』本田哲郎著 より

 

 

画像は小学校4年生の宗教の教科書です。

執筆者プロフィール

セラフィーニ まり
セラフィーニ まり
いい加減だけど心優しい人達に囲まれてイタリアの片隅から、世界と日本を眺めています。

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