Lwp70 – 宗教百話(8) 宗教のために生きるのでもなく、宗教にあきらめるのでもなく

筆者はこれまで、南原繁や吉野作造など、近代日本のキリスト者の歩みを研究してきたが、ふたりに顕著なことは、「宗教(信仰)のために」「なにかをなす」という意識が希薄であるということだ。南原繁も吉野作造も、社会参加に関しては積 …

哲学入門41 – コラム:人間が国家に奉仕して実行するすべてのことは、人間の本性に背いている=ニーチェ【無料】

哲学入門40 – :3.3 前史(10) ニーチェとニヒリズム(2) 前回の哲学入門本編では、ニーチェその2として、奴隷道徳やルサンチマンについて紹介した。自然界には道徳的な善悪が存在しないが、人間世界にはこ …

ウジケ訊2 – 「世の中が狂っているのに、なぜ関心を持たないのかイライラします」【無料】

【質問】 ハンドルネーム:コゼット ウジケ先生、こんにちは。政治哲学を勉強している大学生です。政治思想史を学べば学ぶほど、現在の行く末を危惧します。個人の尊厳をそこなう政治の暴走と国境を超えた地球的問題群への後手後手の対 …

Lwp68 – 書評:山本芳明『漱石の家計簿』教育評論社。【無料】

山本芳明『漱石の家計簿』教育評論社、読み終えたが、目からウロコとはこのことか。生臭い話だが、漱石はどれだけ稼ぎ、どう使ったか--。ヒョウ柄の衣類で着飾ったおばちゃんでなくても関心のあるところであろう。近代文学研究者の著者 …

Lwp67 – 雑談ができないのは、本当にピンチです

ここ数年、考えていたことなので、自由に書いてみてもよろしいでしょうか? ……ってことで、その考えるヒントになったのは、哲学者の鷲田清一さんが『朝日新聞』に連載している「折々のことば」(2018年10月15日付1面)です。 …

哲学入門40 – :3.3 前史(10) ニーチェとニヒリズム(2)

(前回までのあらすじ) 現代世界の基礎となったのが社会現象が産業革命であるが、産業革命が生み出した人間疎外という現象に対して、思想家たちは対峙せざるを得なくなった。ニヒリズムの思想を説き、人間の生の唱えたニーチェもその一 …

名著を読む19 – 夏目漱石『私の個人主義』を読む

◇ 漱石の問い  私はこの世に生れた以上何かしなければならん、といって何をして好いか少しも見当がつかない。私はちょうど霧の中に閉じ込められた孤独の人間のように立ち竦(すく)んでしまったのです。そうしてどこからか一筋の日光 …

Lwp66 – 書評:鳥居『キリンの子 鳥居歌集』角川書店。【無料】

書物にはわざわざ解説するよりも、「とにかく読め」と言うほかないものが存在する。詩集や画集といった類がそれに該当するが、それでも、「とにかく読め」という妥当性を無理やりひねり出して、すなわち余分としか言う他ない「解説」とい …