freak9 – 文証より実証 鉄眼の生涯

東日本大震災以降、東北の、まさに「現地」「現場」に通うようになって、今までの自分の「言説」に空虚さを感じるようになりました。いかに口で立派なことを語っても、実際、死ぬような思いをした人には届かない。むしろ、黙って横にいることのほうが、「高み」から高説を垂れるより、はるかに人を「支える」ことだと思いました。
リーダーは必要ない、必要なのは「サポーター」だと、思うようになりました。
僕が住む大阪の、1人の先例を紹介します。

哲学入門9 – コラム:目を覚ますこと、酔いから覚めること、リフレインと手を切ること、それが哲学【無料】

哲学とは徹底的に自分自身で考えること、そしてその省察が他者に開かれている営みのことだが、それは「歌うようにではなく真に話すこと、目を覚ますこと、酔いから覚めること」(レヴィナス)。常に「眠りの商人」の誘惑を退けなければならない。

FF2 – 「故郷」をつくること 「故郷」を失うこと——飯舘村・浪江町の、もう一つの歴史(その2)

今回の原発事故で、この前まで「警戒区域」になっていた場所、またまだ「帰還困難区域」になっている場所を見ると、考えないとあかん事実が浮かび上がってきます。もちろん、福島第一原発の立地地、大熊町・双葉町は当然なんですが、そこから「あの日」の南東の風に乗って、阿武隈山系に、少し距離的には原発から離れているのにもかかわらず、高濃度汚染地域が南東から北西にかけて広がりました。
そして、その地域は……。その地域がどんな地域だったかを知れば、この事故の根深さが、よく分かると思います。連載二回目です。

Lwp10 – 書評:楾大樹『檻の中のライオン』かもがわ出版、2016年。憲法は私たちの生活に関係ないと「錯覚」させていればいるほど、それは機能している。

本書は国家権力を「ライオン」、憲法を「檻」と喩え、憲法の基本的な考え方を概観するが、「憲法なんて私たちの生活に関係ない」と思う人にこそ手に取ってもらいたい一冊である。

Salt8 – 人類共通の財産

ケニアに仲間がいます。孤児院&学校をしています。その学校の教員や卒業生がときどき、日本を訪れてくれます。その人たちが「人類共通の財産」と誇りを持っているものがあります。それは……。
世界が称賛、日本のうんちゃら、とかいうものと、正反対のものです。

FF1 – 「故郷」をつくること 「故郷」を失うこと——飯舘村・浪江町の、もう一つの歴史(その1)【無料】

福島に通い続けています。友人や仲間もたくさんできました。
でも、福島については、最初の段階からそこに住む人々について、また、その人たちの「思い」について、見過ごされてきたという気持ちがぬぐえません。放射線量とかの数値が。確かに、数値も大事なんですが、人を忘れてはいけないと思うんです。
「福島にまだ住み続けているなんて、おかしい」とかいう反原発の人の声も、時々、目にします。
でも、原発事故の被害者のかたがたが、もっとも「反原発の証人」ではないかと思うのです。その人たちの気持ちを少しでも自分のものとすることが、一番最初になすべきことではないかと思うのです。
それで、FUKUSIMA FACTと題して、そこに住む人たちの”FACT”を考えたいと思います。九回連載の一回目です。

哲学入門8 – 第1章「哲学を学ぶために」 1.6 哲学の存在意義 .7 全体の見通し 8 マリノフ対談抜粋

哲学は一体、何の役に立つのだろうか。役に立つという自体、実際のところ役に立たないことが多いが、それは「何のため」という意識の欠如があるからであろう。そうした根本的なところから考察するのが哲学だが、ここではその存在意義や学ぶ意義を紹介し、1章をまとめておきたい。章末に資料あり。

文系諸学が「役に立たない」として切り捨てられる現状だが、大切なことは、いったい、何のためにそれを行うのか、という意識であり、それを根本から考えるのが哲学である。本稿では哲学の存在意義と学ぶ醍醐味を紹介したい。

名著を読む4 – プラトン『国家』を読む

二元論と絶対的真理の主張で評判の悪いプラトンですが、その真意は、真実を探究せず、移ろいやすい世界や物事を絶対化させてしまうことへの警鐘だったのではないでしょうか。プラトンの説得的な構想力は、いまこそ必要とされる対話的叡智といっても過言ではありません。

Lwp9 – 大学教育とは「企業が雇うに値する能力」を養う場所なのだろうか。

政府は、企業が雇うに値する能力の向上に取り組む大学にのみ資金援助をしようと考えているが、大学はそうした能力を養う現場ではない。企業そのものが破綻しないように「専門知識に光をあてて正しい方向に導く」のが大学教育=教養教育である。「セコい」短絡的な議論が、教育を崩壊させるだけでなく、経済活動そのものまでを麻痺させてしまうのだ。