Lwp22 – 書評:高橋源一郎『ぼくらの民主主義なんだぜ』朝日新聞出版、2015年。絶望するまえに、ぼくたちは、ぼくたちの「民主主義」を自分で作らなきゃならない。

高橋源一郎のオルタナティブを創造せんとする、人びとを繋ぐ「ことば」への復興という試みは、党派性を超えた、人間主義の探求であるのではないか。「ぼくたちは、ぼくたちの『民主主義』を自分で作らなきゃならない」。

Lwp21 – 日本社会の外国人排斥は、「ふつーの日本人」たちのデフォルトではないだろうか【無料】

「人の良いオッチャンや、優しそうなオバハンや、礼儀正しい若者」たちは、事実とは異なる神話をもとにした外国人に対する「心のなかに潜む小さな憎悪」を持っている。だとすれば「ふつーの日本人」は、ヘイトスピーカーたちと地続きかも知れない。

Lwp20 – 書評:アントネッラ・アンニョリ(萱野有美訳)『拝啓市長さま、こんな図書館をつくりましょう』みすず書房 図書館とは、平等と理解、寛容を体現する知の広場

市民が自由に集い、図書を媒介に会話を楽しんだり、時には結婚式や市民討論が開かれたり…。図書を介して新しい考え方や生き方に触れることもあるだろう。カルティベイトできる「知の広場」こそ図書館である。

哲学入門14 – 第2章「哲学の起源と開かれた対話」2.4 ソクラテス(1)

古代ギリシアの都市国家アテナイは、言葉をもてあそぶソフィストの跋扈によって自滅する。相対主義を絶対的な金科玉条とした彼らに、本当に正しいことは何かと問い、徹底的に対峙したのがソクラテスである。本稿ではその足跡を追ってみたい。その1です。

Lwp18 – 書評:ビル・エモット(伏見威蕃訳)『「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために』日本経済新聞出版社、2017年/ジェイムズ・S・フィシュキン(曽根泰教監修、岩木貴子訳)『人々の声が響き合うとき 熟議空間と民主主義』早川書房、2011年。 普遍的な観念による偽装と、ローカルな構想を普遍的な価値へ高めようとする努力について

「平等」と「開放性」を軸とした「西洋」そのものが没落の危機に瀕している現在、安易な東西批判を乗り越え、人間そのものを大切にする仕組みをいかに立ち上げていけばよいのか。「生の世論」(大衆民主主義)は熟議を経て「洗練された世論」(熟議民主主義)へと転換する。

哲学入門13 – コラム:ソフィストたちによる壟断は決して過去のアテナイの話ではない。【無料】

「万物の根源とは何か」という探求から哲学は始まったが、やがてさまざまな探求をする人間そのものへ焦点が移っていく。そこで登場するのがソクラテスだが、彼を語る前にソフィストたちの動向に目を向けたい。賢いとは、一体何なのだろうか。