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名著を読む36 – 「読んでおきたい名著リスト」としてのコロンビア大学コアカリキュラム【無料】

「名著を読む」の連載を1年以上続けてきましたが、よく寄せられる質問あるいは要望として「読んでおきたい名著リスト」を作ってくれませんか? というものがあります。

もちろん、作ってしまえば簡単なのですが、氏家的な偏りもありますので、例えば、一通りの西洋の古典を学ぼうとすれば、よいカリキュラムが存在しますので、今日は、そちらを紹介しようと思います。

アメリカのアイビーリーグのひとつであるコロンビア大学では、学部を問わず1~2年生に対して西洋の古典名著を徹底的に読ませていくカリキュラムがあります。それが「
米・コロンビア大学の1-2年生必修コアカリキュラムは「西洋古典常識」徹底履修 毎週古典文学・思想の課題図書を読み、議論し、レポートを書く「The Core Curriculum」と呼ばれるものです。

以下のurlから概要や必読テクストが紹介されていますので、一度お読みいただければと思います。

http://www.college.columbia.edu/core/

筆者自身、大学の教養科目を10年以上担当してきましたが、日本の教養教育がどんどんやせ細ってきていることとは、対照的なカリキュラムで、徹底的に必要とされる教養を学んでいくように設定されています。そしてこのカリキュラムは、1919年から始まっており、百年近く続いている伝統あるもので、文系・理系を問わずすべての学生が必修となっています。

中心に位置するのが Contemporary Civilization in the West で、このほか Literature Humanities 、 University Writing 、 Art Humanities 、Music Humanities 、 Frontiers of Science 、 Science Requirement 、 Global Core Requirement 、 Foreign Language Requirement 、 Physical Education Requirement 、が組み合わされています。文学、哲学ほか音楽や自然科学など大学人が必要とされる教養を2年間、週4時間徹底的に学びます(読んで、討議し、レポートを書き、そして試験を受ける)。

例えば、文学(LITERATURE HUMANITIES SYLLABUS)では、どのようなものを取り上げているのか紹介してみましょう(2018-19年のシラバスから)。

ホメロス『イリアス』『オデッセイ』
サッフォーの詩編
「創世記」、「ヨブ記」、「雅歌」(『旧約聖書』)
ヘロドトス『歴史』(抜粋)
アイスキュロス『オレステイア』
ソフォクレス『オイディプス王』、『アンティゴネ』
エウリピデス『メディア』
トゥキュディデス『戦史』
アリストファネス『雲』
プラトン『饗宴』

これが前期の3ヶ月分の教材です。

哲学と社会思想を扱うCONTEMPORARY CIVILIZATIONでは次のような名著が取り上げられています。

プラトン『国家』
アリストテレス『ニコマコス倫理学』、『政治学』
「出エジプト記」「イザヤ書」「コヘレトの言葉」(『旧約聖書』)
新約聖書「マタイによる福音書」「ローマ人への手紙」「ガラテヤ人への手紙」(『新約聖書』)
アウグスティヌス『神の国』
『コーラン』
トマス・アクィナス、『神学大全』、『対異教徒大全』(抜粋)
ガザーリー『迷いから救うもの』

このあたりをよんでから最初の中間試験があり、このあとは、マキャベリの『君主論』、スペインの南米侵略関連の文献、マルチン・ルターへと接続されていきます。

実際、大学の教養教育を担当していた身としては、いま、日本の大学で同じことをやっているところはほとんどないと思います。ただ、コアカリキュラムで必修になっている文学書や思想書の古典的名著は、厳しい言い方をすれば、ある程度読んでいて「あたりまえ」の書物です。

もし、本格的に文学から自然科学まで教養を身に着けたいと考えるのであれば、コロンビア大学コアカリキュラムは、その導きになるものだと筆者は考えます。

そして、出来ればなのですが、これを独りで読み通すのではなく、読書会のようなものを作ってみることをおすすめします。コロンビア大学での講座がそうであるように、まず読んで、そして討議し、レポートしてみる。このことでより深く身につくものだと考えます。筆者自身、東京でいたときには、月に1度、読書会をしていたものです。香川に島流しになってからは、できていないのですが、再開したいものですね。

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