Lwp38 – 書評:ボリス・シリュルニク(林昌宏訳)『憎むのでもなく、許すのでもなく ユダヤ人一斉検挙の夜』吉田書店。【無料】

神話が政治的虚構とすれば、人々の物語とは虚構ではない。それを立ち上げるのが「レジリエンス」である。肝要なのは思考停止を退け、レディメイドの都合のいい出来合いの物語に依存しないことである。

freak23 – 「前世の業」論は、「たぶらかし」のエセ仏教――上田秋成【無料】

上田俊成の『雨月物語』は、一般的には妖怪変化の類いがでてくるあやかしの文学作品と思われていますが、貧困と身体障がいのなか、苦労をし、また、時には、放蕩の限りを尽くし、また、上方の医師であり、有名な文化人のパトロンであった木村蒹葭堂のサロンに出入りし、本居宣長を痛切に批判した上田秋成が、単なるあやかしを書くはずはありません。そこには、合理的社会批評の目がありました。今回は、『雨月』の一節から、「前世の業」とかいうものは、仏教としてもおかしいぞ、という、秋成の宿業論批判をご紹介します。