書物にはわざわざ解説するよりも、「とにかく読め」と言うほかないものが存在する。詩集や画集といった類がそれに該当するが、それでも、「とにかく読め」という妥当性を無理やりひねり出して、すなわち余分としか言う他ない「解説」という名の徒労を自ら買って出る奇特な人間が存在する。それが書評子というパン屑拾いである。しかしそれは性分だから、もうどうしようもない。しかし、今回取り上げる『キリンの子』もそうした一冊で、まあ、「とにかく読め」。
大事な何かをその手に取り戻す実験場。政治、宗教、生活、歴史、経済など各界の論客たちが思い思いの言葉を綴ります。