名著を読む22 – ジョン・ロック『知性の正しい導き方』(ちくま学芸文庫)を読む。

 人間が自分自身を導くにあたって最終的に頼ることができるのは、自分の知性です。なるほど私たちは心の諸能力を区別し、あたかも意志が行為の主体であるかのように考えて、最高の指揮権を意志に与えます。しかし実際には、行為主体である人間が、すでに知性の中にもっている何らかの知識や知識らしきものに基づいて、自分自身を決定し、あれこれの随意的行為を行うのです。誰でも、何らかの行為を始める場合には、自分によって行為の理由となるような何らかの見解を必ずもっています。人がどのような能力を用いる場合でも、本人を絶えず導いてゆくのは、暗かろうが明るかろうが、ともかく知性が現にもっている光です。真であれ偽であれ、ともかくこの光が、本人のあらゆる活動力を導きます。意志それ自体は、たとえどんなに絶対的で統御不可能のように見えても、知性の命令には必ず服従します。
(出典)ジョン・ロック(下川潔訳)『知性の正しい導き方』ちくま学芸文庫、2015年、15頁。

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